美容サロンの売上分析に使える3つの指標|パーヘッド・人時売上高・実労働売上高とは?

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「A店は月商500万円、B店は月商600万円。では、B店のほうが生産性が高いと言えるでしょうか?」

こう聞かれると、多くの方が「そりゃB店でしょう」と答えたくなると思います。ですが、実はこの問いに即答できない理由があります。それは、売上金額だけではスタッフ数や労働時間が店舗ごとに違うため、本当の生産性は見えてこないからです。
特に複数店舗を展開している美容室・アイラッシュ・ネイルサロンでは、店舗ごとにスタッフ数、営業時間、雇用形態がバラバラなので、単純な売上比較では正しい評価ができません。

この記事では、店舗規模に左右されにくい売上分析の指標として「パーヘッド」「人時売上高」「実労働売上高」の3つをご紹介します。計算方法の違いから、活用方法、複数店舗の比較方法まで、実例を交えて解説していきます。

美容サロンの売上は「売上金額」だけで比較してはいけない

売上金額はわかりやすい指標ですが、それだけを見て「この店舗は優秀」「あの店舗はイマイチ」と判断するのは、実はかなり危険です。まずはその理由から見ていきましょう。

同じ500万円でも店舗によって生産性は大きく異なる

たとえば、スタッフ5人で月商500万円を達成した店舗と、スタッフ10人で月商500万円を達成した店舗があったとします。売上総額だけを見れば、この2店舗はまったく同じ実力に見えますよね。
ですが、1人あたりの売上で考えると、前者は100万円、後者は50万円と、実に2倍の差があります。同じ売上でも、少人数で稼いでいる店舗のほうが効率よく生産性を発揮していると言えるのです。この視点を持たずに売上だけで店舗を評価してしまうと、本当に優秀な店舗を見逃してしまうかもしれません。

複数店舗ではスタッフ数や勤務時間が異なるため単純比較が難しい

複数店舗を運営していると、10人規模の大型店もあれば、5人規模の中型店、2〜3人規模の小型店もあるはずです。この規模のばらつきがある中で売上金額だけを比べても、店舗の実力を正しく評価することはできません。さらに厄介なのは、正社員、パート・アルバイト、時短勤務、店長や管理職など、勤務形態も店舗ごとに異なる点です。つまり「スタッフの人数」だけを揃えて比較しても、実態を正確に反映できないケースが多々あります。

売上分析では「規模をそろえて比較する」ことが重要

そこで大切になるのが、「人数で比較する」「労働時間で比較する」「実際の施術時間で比較する」という発想です。この3つの視点を軸にすることで、店舗規模の違いを吸収しながら、公平な比較ができるようになります。
これらを数値化したものが、これから紹介する「パーヘッド」「人時売上高」「実労働売上高」という3つの指標です。

美容サロンの売上分析に使える3つの指標

まずは3つの指標を一覧で確認しておきましょう。それぞれ「何を基準にするか」が異なるため、見えてくるものも変わってきます。

3つとも「売上をどう割るか」という考え方は似ていますが、分母に何を置くかによって見えてくる課題がまったく違います。ここからは、それぞれの指標を詳しく見ていきましょう。

パーヘッドとは?美容サロンの「1人あたり売上」を分析する指標

まずは最も基本的な指標、パーヘッドから解説します。

パーヘッドの意味

パーヘッドとは、スタッフ1人あたりの売上高を示す指標です。英語の「per head(1人あたり)」に由来しており、美容業界だけでなく、飲食業や小売業などでも広く使われている考え方です。
「うちの店は1人あたりどれくらい稼いでいるのか」を知るための、いわば経営の基礎体力チェックのような数値だと思ってください。

パーヘッドの計算方法

計算式はとてもシンプルです。

パーヘッド=売上÷スタッフ人数

たとえば月商500万円、スタッフ5人の店舗であれば、パーヘッドは100万円になります。難しい計算は一切不要なので、経営者だけでなくスタッフ自身も自分の頭の中でパッと計算できる指標です。

複数店舗の比較にパーヘッドを使うメリット

パーヘッドの良さは、店舗規模が違っていても比較しやすい点にあります。大型店と小型店を並べても、1人あたりの売上という共通の物差しで見られるため、「どの店舗が効率よく稼げているか」がひと目でわかります。人員配置を見直す際の材料としても使いやすく、複数店舗展開をしているオーナーにとっては、まず押さえておきたい指標と言えるでしょう。

パーヘッドだけでは分からないこと

ただし、パーヘッドにも弱点があります。スタッフの勤務時間、パート・アルバイトといった雇用形態、時短勤務、実際の施術時間などは一切考慮されていません。フルタイムのスタッフと週2日だけ出勤するスタッフを同じ「1人」としてカウントしてしまうため、実態とズレが生じやすいのです。
そこで必要になるのが、次に紹介する「人時売上高」です。

人時売上高とは?美容サロンの「1時間あたりの売上」を分析する指標

パーヘッドの弱点を補ってくれるのが、この人時売上高です。

人時売上高の意味

人時売上高とは、スタッフが1時間働いたときに、どれだけの売上を生み出したかを示す指標です。パーヘッドが「人数」を基準にするのに対し、人時売上高は「労働時間」を基準にする点が最大の違いです。時間という共通の単位で測るため、勤務形態が異なるスタッフ同士でも公平に比較できます。

人時売上高の計算方法

計算式は次の通りです。

人時売上高=売上÷総労働時間

たとえば、月の売上が500万円、スタッフ全員の総労働時間が2,000時間だった場合、人時売上高は2,500円になります。「1時間働くごとに、店舗としていくら稼げているか」を表す数値だとイメージすると分かりやすいはずです。

人時売上高なら勤務時間の異なるスタッフも比較しやすい

美容サロンには、フルタイムスタッフ、パートスタッフ、時短勤務スタッフなど、さまざまな働き方の人が混在しています。こうした環境では、スタッフ人数だけで比較するよりも、労働時間を考慮した人時売上高のほうが、店舗の実態をずっと正確に映し出してくれます。
「人数は多いのに人時売上高は低い」という店舗があれば、そこには何かしらの課題が隠れている可能性が高いです。

人時売上高を活用してスタッフ配置やシフトを見直す

人時売上高を継続的にチェックしていくと、「忙しい時間帯にスタッフが足りない」「暇な時間帯にスタッフが多すぎる」「店舗によって人員配置に偏りがある」といった課題が見えてきます。シフトの組み方ひとつで人時売上高は大きく変わるため、日々の売上アップよりも先に取り組むべき改善ポイントになることも珍しくありません。

実労働売上高とは?「実際の施術時間」から美容サロンを分析する指標

さらに一歩踏み込んで、施術という「本業の時間」だけに注目するのが実労働売上高です。

実労働売上高の意味

実労働売上高とは、実際にお客様への施術を行っている時間を基準にして売上を分析する指標です。人時売上高が「働いている時間」全体を対象にするのに対し、実労働売上高は「施術している時間」だけに絞り込む点が大きな違いになります。

実労働売上高の計算方法

計算式はこちらです。

実労働売上高=売上÷総施術時間

たとえば、総施術時間が1,500時間で売上500万円だった場合、実労働売上高は約3,333円となります。人時売上高より数値が大きくなるのは当然で、これは「施術時間だけで稼いだ効率」を表しているからです。

人時売上高と実労働売上高の違い

ここが本記事でも特に重要なポイントです。人時売上高は「働いている時間」を基準にするのに対し、実労働売上高は「実際に施術している時間」を基準にします。8時間勤務していたとしても、そのすべてがお客様への施術時間とは限りません。開店準備、清掃、休憩、カウンセリング、会計、後片付け、予約と予約の間の空き時間など、施術以外に費やしている時間は意外と多いものです。
この2つの指標を並べて見ることで、「労働時間の使い方」に問題があるのか、「施術そのものの効率」に問題があるのか、原因を切り分けて発見できるようになります。

実労働売上高から施術効率を分析する

実労働売上高が低い場合は、メニューごとの施術時間、予約枠の取り方、施術工程、スタッフごとの施術効率などを見直すきっかけになります。カットに想定以上の時間がかかっていないか、施術の合間に無駄な待ち時間が発生していないかなど、現場レベルの改善につながる、非常に実践的な指標です。

パーヘッド・人時売上高・実労働売上高の違いを比較

ここまで紹介した3つの指標を、あらためて表で整理しておきましょう。

3つの指標は「どれか1つ」ではなく組み合わせて使う

パーヘッドだけでは勤務時間の違いが見えず、人時売上高だけでは施術以外に使われている時間が見えず、実労働売上高だけではスタッフ配置の適正までは判断できません。つまり、どれか1つだけを見て経営判断をするのは危険なのです。3つを組み合わせて初めて、店舗の生産性を多角的に、そして立体的に把握することができます。

3つの指標を使って複数店舗の美容サロンを比較する方法

ここからは、この記事ならではの実践パートです。複数店舗を展開しているオーナーの方には、特に読んでいただきたい内容になっています。

店舗ごとの売上・スタッフ数・労働時間を比較する

実際の数字で見てみましょう。

売上だけを見ればB店の勝ちです。ですが、パーヘッドで見るとA店が100万円、B店が60万円。人時売上高で見てもA店が2,500円、B店が2,000円と、どちらもA店のほうが上回っています。「B店のほうが売上は高いが、1人あたり・1時間あたりで見るとA店のほうが生産性が高い」というのが実態なのです。この差に気づけるかどうかで、経営判断の質はまったく変わってきます。

店舗ごとの「強み」と「課題」を発見する

パーヘッドが高い店舗、人時売上高が高い店舗、実労働売上高が高い店舗をそれぞれ比較していくと、単純な売上ランキングでは絶対に見えてこない「生産性ランキング」を作ることができます。売上は低いけれど生産性は高い、という隠れた優等生店舗が見つかることも珍しくありません。

店舗間比較から成功店舗の運営方法を分析する

生産性の高い店舗が見つかったら、そのスタッフ配置、シフトの組み方、メニュー構成、客単価、施術時間、再来店率などを丁寧に確認してみてください。そこには、他の店舗にも横展開できるヒントが必ず隠れています。良い店舗のやり方を言語化し、他店舗に共有していくことが、複数店舗経営を成功させる近道です。

売上分析の結果から美容サロンの課題を見つける方法

3つの指標が低く出た場合、それぞれどんな原因が考えられるのかを整理しておきましょう。

パーヘッドが低い場合

考えられる原因としては、スタッフ数に対して顧客数が少ない、客単価が低い、再来店率が低い、店販商品の購入率が低い、あるいは人員配置そのものが過剰である、といったことが挙げられます。まずは集客と人員のバランスから見直してみるとよいでしょう。

人時売上高が低い場合

こちらは、空き時間が多い、シフトと予約状況が噛み合っていない、閑散時間帯に人員が多すぎる、営業時間に対してスタッフ配置が多すぎる、といったことが主な原因です。シフトを予約データに基づいて組み直すだけで、大きく改善するケースも多くあります。

実労働売上高が低い場合

施術時間が長すぎる、低単価メニューの比率が高い、メニューごとの時間設定が実態に合っていない、施術工程に無駄がある、といった点が考えられます。現場のオペレーションを一つひとつ見直していく地道な作業が必要になります。

売上だけでなく「客数・客単価・再来店率」も合わせて分析する

売上が低い原因を本当に特定するには、「売上=客数×客単価」という基本の考え方に立ち返る必要があります。新規客数、リピート客数、客単価、再来店率、メニュー別売上、スタッフ別売上などを組み合わせて分析することで、はじめて根本原因にたどり着くことができます。

美容サロンの売上分析は「一度見るだけ」では意味がない

指標は、一度計算して終わりにしてしまうと、その価値の半分も活かせません。

前月比で変化を見る

前月よりパーヘッドが上がったか、人時売上高が改善したか。こうした変化を追いかけることで、施策の効果を客観的に検証できます。

前年同月比で成長を見る

美容サロンは季節によって売上が変動しやすい業種です。単月の数値だけでなく、前年同月と比較することで、季節要因を除いた本当の成長度合いが見えてきます。

複数店舗を同じ指標で継続的に比較する

店舗別、スタッフ別、月別、年別と、同じ指標を継続して追いかけていくことが大切です。「数字を記録する」のではなく、「数字の変化を見続ける」ことこそが、売上分析を経営に活かす最大のコツだと言えます。

美容サロンの売上分析を効率化するならPOSシステムを活用

ここまで紹介してきた指標は、いずれも手計算で出すことはできますが、店舗数やスタッフ数が増えるほど、その作業は現実的ではなくなっていきます。

売上・顧客・スタッフのデータを一元管理する

売上、客数、客単価、メニュー、スタッフ、店舗、勤怠、施術時間といったデータがバラバラに管理されていると、それだけで分析のハードルが一気に上がってしまいます。これらを一元管理できる環境を整えることが、継続的な売上分析の第一歩です。

複数店舗の売上を本部から比較・分析する

複数店舗を展開しているサロンでは、店舗ごとの売上、スタッフ別売上、店舗別客単価、再来店率、人時売上高などを、本部からリアルタイムに確認できる仕組みが重要になります。店舗を訪問しなくても数字で状況を把握できれば、経営判断のスピードも大きく変わってきます。

A’staff Cloudで美容サロンの売上データを分析する

美容室・アイラッシュ・ネイルサロン向けの顧客管理ソフト&クラウドPOSシステム・電子カルテ「[A’staff Cloud](https://www.astaff.net/)」では、複数店舗の売上管理、店舗別・スタッフ別の売上分析、再来店向上分析、LTV向上分析、人時売上高集計表、曜日時間帯別売上集計といった機能をまとめて活用できます。
この記事で紹介してきた「パーヘッド」「人時売上高」「実労働売上高」による分析も、日々のPOSデータをベースに継続的に行っていくことが可能です。特別な集計作業を毎月手作業で行う必要がなくなるため、経営判断のスピードと精度を同時に高めたい複数店舗経営者の方には、心強い味方になるはずです。

まとめ|複数店舗の美容サロンは売上だけでなく生産性を比較しよう

美容サロンの売上分析では、売上金額だけを比較しても店舗の生産性は分かりません。特に複数店舗を展開している場合、店舗ごとにスタッフ数や規模が異なるため、その違いを吸収できる指標が必要になります。

パーヘッドは「スタッフ1人あたり」の売上、人時売上高は「労働時間あたり」の生産性、実労働売上高は「施術時間あたり」の生産性。それぞれ異なる視点から店舗の実力を映し出してくれます。この3つを組み合わせて分析することで、スタッフ配置、シフト、施術時間、メニュー構成といった、具体的な改善アクションにつなげることができるはずです。

大切なのは、売上を増やすことだけを目指すのではなく、限られた人員と時間の中で、効率よく売上と利益を生み出せる店舗づくりを目指すことです。そのためにも、POSシステムなどを活用してデータを継続的に蓄積し、比較し続ける仕組みを整えていきましょう。

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